第五章瓦の性能|瓦は屋根材としてどのような特徴を持っているのか

日本人に長く親しまれてきた瓦ですが、屋根材としての性能はどのようなものなのでしょうか。まずは一番気になる耐用年数を見てみましょう。

耐用年数

釉薬瓦 50~60年以上

いぶし瓦 40~50年以上

無釉瓦 40~50年以上

粘土瓦ならどの瓦でも40年以上の長い耐用年数を誇ります。最初に触れた元興寺の瓦は1400年以上経過した今でも現役です。瓦がいくら丈夫でもお住まいの他の部分はそこまで耐用年数が長くありません。例えば、瓦を支えている漆喰の耐用年数は20年程度です。また瓦の下の防水紙(ルーフィング)の耐用年数も20年前後です。ある程度の築年数が経ってしまうと瓦自体に問題が無くても、漆喰や防水紙の劣化から雨漏りが始まることがあります。
瓦屋根からの雨漏りについてはこちらのサイトで詳しく紹介されています
→街の屋根やさん横浜(http://www.yaneyasan14.net/

釉薬瓦は表面がガラス質なのでほとんど色褪せしません。数十年経つと色が薄くなってきますが、それを味わいと捉える方がほとんどです。無釉瓦も色褪せは目立ちません。いぶし瓦や無釉瓦は古くなり、表面の水切れが悪くなると、そこから苔やカビ、藻が発生することがあります。

断熱性能

釉薬瓦 大変優れている

いぶし瓦 大変優れている

無釉瓦 大変優れている

どの瓦も断熱性は大変、優れています。お湯を入れた湯呑を想像して下さい。お湯に直接触れれば火傷しそうな温度でも湯呑自体に触れることは問題ありません。瓦と湯飲みはほぼ同じ素材です。このことからも大変、断熱性に優れていることが分かると思います。

遮音性(降雨時)

釉薬瓦 まったく気にならない

いぶし瓦 まったく気にならない

無釉瓦 まったく気にならない

どの瓦も遮音性に優れています。以前、金属屋根のアパートに住んでいた方などは瓦屋根の建物へ引っ越すと雨音に気付かず、洗濯物を濡らしてしまうこともしばしばあるそうです。

優れています。お湯を入れた湯呑を想像して下さい。お湯に直接触れれば火傷しそうな温度でも湯呑自体に触れることは問題ありません。瓦と湯飲みはほぼ同じ素材です。このことからも大変、断熱性に優れていることが分かると思います。

耐風性

釉薬瓦 強風時に不安

いぶし瓦 強風時に不安

無釉瓦 強風時に不安

どの瓦も重いので多少の風は問題ありませんが、台風並みの暴風だとずれたり、落下してしまうこともあります。最近の防災瓦は屋根に釘などで直接固定するだけでなく、瓦と瓦をフックして引っ掛けてはずれにくくしてありますので、強風で飛ぶことはありません。

重量

釉薬瓦 強風時に不安

いぶし瓦 強風時に不安

無釉瓦 強風時に不安

どの瓦も1㎡あたり60kg前後の重さとなります。スレートが1㎡あたり20kg前後、金属の場合は6kg前後です。お住まいに相当な負担をかけていることが分かります。

瓦の耐震性1  瓦の耐震性2

耐震性

釉薬瓦 強い地震の時は危険

いぶし瓦 強い地震の時は危険

無釉瓦 強い地震の時は危険

耐震性は屋根の重さに大きく関係しています。柱や耐力壁が同じ造りのお住まいなら、屋根が軽い方が地震時には有利なのです。柱や耐力壁が同じ造りのお住まいの場合、地震への強さ順に屋根材を並べると金属>スレート>瓦になります。

実は瓦屋根であっても地震に強いお住まいを実現することは可能です。柱や耐力壁を増やせばいいだけですから。ただし、柱や耐力壁を増やすとそれだけコストがかかることになります。現実的には厳しい選択になるのです。
瓦屋根のお住まいの有利なことは屋根リフォームで耐震性を上げることが可能なことでしょう。スレートや金属に葺き替えれば、屋根が軽くなるのでそれだけで大幅に耐震性がアップします(瓦屋根ではなくなってしまいますが)。他の屋根材ではこうは行きません。屋根葺き替えを前提に中古物件を購入するなら建築基準と施行年度の関係を吟味した上での話しですが、瓦屋根のお住まいはとても魅力的なのではないでしょうか。